増田伊佐世 | 湘南厚木病院看護師採用サイト

多様な経験が育んだ、私の看護キャリア

私が看護師になったのは、中学生の時に父親を病気で亡くしたことがきっかけでした。その経験から医療に興味を持ち、将来は医療関係の仕事に就きたいと思うようになりました。また、母親が一人で私と妹を育ててくれている中で、早く経済的自立を図りたいと考えたことも、私の決意に大きく影響しています。看護師の資格を取得後、公立の総合病院に入職しました。結婚・出産などのライフスタイルの変化を経験しながらも、キャリアを積み重ねていきました。30代では看護学校の教員も経験し、看護師としての視野を広げることができました。その後、看護師長として外科病棟と精神科病棟を経験し、医療安全管理者を10年務めた後、看護責任者となりました。キャリアを積んでいく中で、それまで勤務していた公立病院が経営的に破綻し、徳洲会グループの指定管理を受けることになりました。この経験を通して、病院経営の厳しさを痛感し、看護にも経営的視点が必要であると考えるようになりました。

先輩との出会いが導く看護師としての成長

看護師として早く一人前になることを目指し、新人の頃から看護知識とスキルの習得に励み、看護研究にも積極的に取り組んできました。しかし、3年目を迎えた頃、その継続的な学習の意義について疑問を感じ、心身ともに少し疲弊していました。そんな折、先輩助産師に「看護師は常に学び続ける必要があるのか、それとも看護師だからこそ学び続けるべきなのか」という悩みを打ち明けました。先輩は「そんな風に考えるようになったんだね」と一言だけ返答し、それ以上は何も語りませんでした。その瞬間、私の中で何かが腑に落ちたような感覚があり、「人の命を預かっている」という看護師の使命を再認識しました。その出来事以降は迷うことなく、スキルアップや研究活動、教育活動にも積極的に取り組むことができました。あの時、もし先輩が「当たり前でしょ、看護師なんだから」と言っていたら、私は自分の力で気づくことができず、今のような看護観を持てていなかったかもしれません。先輩は直接的な答えを与えるのではなく、私自身で答えを見つけ出すきっかけを与えてくれました。自分で考え、気づくことの大切さを教えてくれた先輩に、心から感謝しています。

尊敬できる先輩方との出会いは、私の看護人生において大きな転機となりました。看護教員という新たな可能性に気づかせてくれたり、患者さんに対する献身的な姿勢の大切さを教えてくれたりと、様々な学びと気づきを与えてくれました。これからも、先輩方から受け継いだ看護の心を大切にしながら、自分自身の看護観を磨き続けていきたいと思います。

患者さんとの出会いが与えてくれたもの

私のキャリアを考える上で、精神科看護の経験も非常に大きな影響を与えました。精神科病棟では、患者さんと関わる中で、時として理解しがたい出来事が起こることがあります。しかし、そのような状況下でも、看護師たちは患者さん一人ひとりをありのままに受け止め、理解しようと努めていました。その姿勢に私は深く心を動かされ、精神科看護の奥深さを実感したのです。当時、精神科医の先生からよく言われていた言葉があります。「疲れたでしょ、でもその疲れが患者さんを良くするんだよ」と。初めは半信半疑でしたが、実際に患者さんと向き合う中で、自分の疲労が患者さんの回復につながっていることを実感しました。この言葉に救われ、支えられていた自分がいたことを今でも鮮明に覚えています。また、チームメンバーとの関わりに悩んでいた時には、「みんながあなたみたいにエネルギーにあふれているわけじゃないからね。省エネタイプもいるんだよ」と言われました。この言葉は、スタッフ一人ひとりの個性や特性を尊重することの大切さを教えてくれました。エネルギッシュなタイプもいれば、静かに着実に働くタイプもいる。そうした多様性があるからこそ、様々なニーズを持つ患者さんに適切な看護を提供できるのだと気づかされました。精神科での経験を通じて、私は看護の本質とは何かを深く考えるようになりました。患者さんに寄り添い、共感することの重要性、そしてスタッフ一人ひとりの個性を活かしてチームで協力することの意義を学びました。この学びは、その後の私のキャリアにおいて、常に原点となる大切な財産となっています。